精子の老化への対策

「酸化ストレス」が老化の源

老化の源は 「酸化ストレス」

 

老化のイメージは人それぞれあると思いますが、ひとつは「見た目」の衰え、もうひとつは「機能の低下」です。

 

精子は肉眼で見ることができませんから、後者のほうのイメージです。
精子の老化とは、運動率や受精率が低くなり、全体的に機能が低下することをいいます。

 

この原因は「酸化ストレス」です。
おそらくアンチエイジングや老化防止のキーワードとして、聞いたことがある人も多いでしょう。

 

簡単に言えば、体内に発生した活性酸素やフリーラジカルによって、細胞が傷つくという現象です。

 

リンゴを半分に切ってしばらく置いておくと、切り口が茶色く変色しますよね。これが酸化ストレスです。

 

「体がサビつく」という表現もありますが、まさに精子も錆び付くのです。

 

精子は酸化ストレスによって「フラグメンテーション(断片化)」あるいは「メチレーション(化学反応の一種)」が起こります。

 

これは簡単に言えば、精子に入っているDNAが傷ついて、ダメージを受けると思ってください。
その結果、受精しにくくなってしまうのです。

 

不妊症患者の男性の精液中には、こうした酸化ストレスを受けた精子が多いというデータもありますし、体外受精の結果も酸化ストレスと相関しているというデータもあります。

 

酸化ストレスが高い精子ほど、受精率が低くなるのです。

 

精子はどの段階から酸化ストレスを受けるのでしょうか? 
イメージとしては射精後、つまり体外に放出された後、どんどん酸化していくと思うかもしれません。

 

実は精子の酸化は「タマから出た瞬間から」始まっています。
精巣で作られた精子が精巣上体へと出たとき、すでに活性酸素などの洗礼を受けてしまうのです。

 

精子の素になる細胞は日々新しく作られて、順次更新されていると思いきや、実は陰嚢の中ですでに老化が始まっているというわけです。

精子の老化対策 

抗酸化とカロリーリストリクション

 

精子老化を防ぐためには、何が効果的なのでしょうか?
キーワードのひとつは「抗酸化」です。

 

要は、活性酸素などの酸化ストレスの害を減らす働きのあるものです。
具体的な成分をあげるならば、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類やカロテン類、エンザイムQ10などの抗酸化物質です。

 

これらの成分が入った食品を積極的にとったり、サプリメントで補給することが精子老化の防止につながると考えてもいいでしょう。
実際に、コエンザイムQ10を服用することで、精子の運動率が上昇したというデータもたくさんあります。

 

ある病院で男性不妊患者にコエンザイムQ10を服用してもらったところ、半年で精子濃度や精子の運動率が上昇することがわかりました。
このことから少なくとも精子老化防止に効果があるということは言えるようです。

 

もともと男性不妊患者は普通の男性よりも体の抗酸化機能が低下している傾向があり、精漿(前立腺と精嚢からの分泌液)中の活性酸素が高いことがわかっています。
抗酸化対策を行うことで、酸化ストレスの影響を軽減できることは確かです。

 

もうひとつは、カロリーリストリクション、つまりカロリーをとりすぎない、ということです。

 

脂質代謝異常や肥満、生活習慣病にメタボリックシンドローム、現代病のすべてがカロリーのとりすぎに起因しています。

 

ただし、元をたどれば、これらの病気も酸化ストレスが原因でもあります。
心臓や脳の血管にダメージを与えるのも酸化ストレスです。

 

結局のところは、月並みな対策である、抗酸化とカロリーリストリクションを徹底することが精子老化の予防につながるというわけです。

 

唯一、確実にやめたほうがいいのはタバコです。

 

タバコの活性酸素は精子そのものを減らしたり、DNAに損傷を与えるなど、酸化ストレスの悪影響を総取りになってしまいます。

 

運良く授精して妊娠しても、うまく育たずに流産する可能性も高くなりますし、血流を悪くするため勃起障害(ED)の原因にもなります。

 

タバコはいいことがひとつもありません。

 

おそらく「OOが精子老化に効く!」「○○さえ食べれば精子も元気に!」という情報が知りたいのかもしれません。

 

もちろん小規模な研究やデータはいろいろとありますが、万人に効果的、というものはありません。

 

結局のところは、「栄養バランスのいい食事を」「しっかり睡眠を」「規則正しい生活を」「禁煙」といった、どんな病気にでも共通する話に収まってしまうのです。

 

 

最近では、アンチエイジングドックなど、血液や尿で酸化ストレスの度合いを測る検査もあります。

 

まずはこうした気軽に受けられる検査で、自分の体がどの程度酸化ストレスを受けているのかを知っておくのもよいでしょう。

 

体が酸化していれば、同様に精子も酸化ストレスを受けている可能性がある、と思って間違いないのです。

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